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無題
- 2006/11/20(Mon) -


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長田弘・詩集『人はかつて樹だった』を読む。

  樹の伝記

 この場所で生まれた。この場所で
 そだった。この場所でじぶんで
 まっすぐ立つことを覚えた。
 空が言った。-わたしは
 いつもきみの頭のすぐ上にいる。-
 最初に日光を集めることを覚えた。
 次に雨を集めることも覚えた。
 それから風に聴くことを学んだ。
 夜は北斗七星に方角を学び、
 闇のなかを走る小動物たちの
 微かな足音に耳をすました。
 そして年月の数え方を学んだ。
 ずっと遠くを見ることを学んだ。
 大きくなって、大きくなるとは
 大きな影をつくることだと知った。
 雲が言った。-わたしは
 いつもきみの心を横切ってゆく。-
 うつくしさがすべてではなかった。
 むなしさを知り、いとおしむことを
 覚え、老いてゆくことを学んだ。
 老いるとは受け入れることである。
 あたたかなものはあたたかいと言え。
 空は青いと言え。


いい詩だ。

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