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自分を守る自分のための雇用対策
- 2009/02/03(Tue) -
今年大学3回生になる娘は、最近卒業後についていろいろ相談を持ちかけてきます。
私は、学校にも社会にも適応できなかった人間なので、とてもアドバイスなど出来ないのです・・・・
彼女の考えていることをじっくりと聴いて上げることぐらいしか出来ないのです・・・・

そこでネットでいろいろ探していて、こんな記事を見つけました。
東大の方のようです。
この不安にみちた雇用情勢の中、何か少しでも娘の役に立てばと思い、
記事をもとにして話し合いをしたりしています。

本当に、生活不安の大きい時代です。
若者は使い捨てのように扱われています・・・・
若者を大切にし、育てていかなければそのうち国が滅びてしまうというのに・・・・
娘の仲の良い先輩も、昨年卒業し正社員に就職はしたけれど、
毎日毎日、長時間労働を強いられ、とうとうダウンして退職するとの事。
大変な時代です・・・・

以下転載・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自分を守る自分のための雇用対策
 
 以前、大学での授業用につくった資料(一部修正)です。
 何かのお役に立てば幸いです。

 玄田 有史

http://www.genda-radio.com/


不透明さを増す雇用情勢のなか、多くの国民が自分の雇用生活を、
生涯にわたり守っていくための、具体的なポイントをすみやかに周知徹底すること、
そしてそのための国民の目線に立った情報発信が、まず重要。

1.「3年くらいは、つづけてはたらけそうな会社をえらぶ」
 
 *有期雇用は原則最長3年(派遣も3年まで働けることがある、特別な業務では期限なし、
日雇い派遣など法的に規制するのも一案だが、そのリスクを自ら認知・回避することが重要)
 *予想外のことで仕事を辞めなくてはならなくても一定期間働いた実績が意味を持つ
(できればあまりに短い期間で転々としないほうがいい)
 *どうしようもない理由がない限り、辞めないことが大事
(辞める前に十分、上司、人事、組合などに相談する他、辞めるとしても、
就職が決まってから辞職する「オン・ザ・ジョブ・サーチ(OJS)」をこころがける)


2.「『あなたはこれまでどんなしごとをしてきたのですか?』ときかれたときに、
自分なりにこたえられるよう、日ごろからはたらく

 *誰もが職を失うリスクがある時代、できるだけ日頃から、
転職をしなければならなくなったときのことを想像して働くことが大切。
この質問は転職で面接を受けるとき、もっとも重要な質問
 *若年・中年フリーターも中高年再就職でも、この答えが再就職の決め手になることが多い
 *大事なのは、上手でなくていい、短くていいから、自分の言葉で自分の経験
(履歴書には書かれていない)を語ること


3.「しごとでトラブルにあったら、かならず『総合労働相談コーナー』へ」

 *世の中には、残念ながら、違法な行為が存在することを自覚することが大切
 *「一方的に辞めさせられた」「給料が払われない」「仕事でケガをしたのに費用が出ない」
「最初の約束と違う」「職場でのいじめやハラスメント」等、
働く上でトラブルに遭ったとき泣き寝入りしないため
 *全国の都道府県に設置、電話相談も可能、裁判所、紛争解決機関とも連携
 総合労働相談コーナーについては
 http://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html



4.なにかあったら『ハローワーク』『サポステ』『ジョブカフェ』など、
しごとをタダでしょうかいしてくれたり、はなしをきいてくれるところにいく

 *雇用保険に加入してなくても、誰でも利用できる
 *就職先の紹介だけでなく、どうやれば面接を突破できるかなども助言してくれるので、
自分に一番あった場所や人をみつかるまで、複数のところへいってみる
全国のサポステ(地域若者サポートステーション)については
http://www.ys-station.jp/


5.「できるだけ雇用保険に入れる会社をえらぶ」

 *雇用保険に加入できるのは、「正社員」の他、短時間労働者でも
①1週間の所定労働時間が20時間以上かつ②1年以上引き続きの雇用見込みがある場合
(2008年時点)。よくわからない場合には、ハローワークや総合労働相談コーナーに
遠慮なく相談する。
*求職者給付の他、一定期間保険に入れば、教育訓練給付(3年以上で10万円)など
様々な社会保障制度の恩恵を受けやすい
*「保険に入ると手取りが減るんだけど・・・」と、加入義務があるのに違反にしようとする
使用者側の誘惑がもしあっても、乗らないことが大事


6.「かぞくみんなではたらく」

 *一人ひとりの給料が少なかったり、家族の誰かが思いがけず仕事を失ったときにも、
お互いに助け合えるようにする
 *どういう仕事をするか、これからの生活をどうするか、
家族や身近な人たちと日頃からよく話し合う 
 *ただし、病気やケガの人、一般の高校生などは除く


7.「学校を中退しない、中退させない」
 
 *中途退学経験者はニート状態になりやすいなど、中退は一般に就職に不利な現実がある
 *ただし高校を中退しても、通信制や定時制などで高校卒業の資格を取ることもできる


8.「あきらめない」

 *非正規、フリーター、失業者、ニートになっても、人生に絶望することはない
 *自分だけ、家族だけではどうしようもないと感じても、
自分たちを支援してくれる人たちが必ずいる
(4に挙げた機関やNPOの他、自治体では紹介の窓口を持っているところも多い)


これらの前提として、何より
『働くことが困難な人の状況に対する国民的な理解』が必要

 *働くことに苦しみをおぼえている人や、働きたくても働けなくて苦しい人が、
どこにどのような表情をして生きているのか
 *その事実を多くの人たちが理解し、それぞれ出来ることを行動すること

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忘れるな!自分!
- 2009/02/06(Fri) -
今朝の空。7時14分

静かで落ちついた日々を送っています。
気管支炎になってから、すっかりヒッキーになってしまいましたが。
家の中でゴロゴロしていて、本さえ読もうとしません。
音楽も聴かないし、編み物もしない。
何をしているのかさっぱり分からないけど、精神的に凄く安定していて、まっいいか、と。

そんな私に、冷水を浴びせかけられたほど衝撃的な詩に出会いました・・・・
忘れていたのかい?
そうですね・・・・つい日常の安穏さに、人の痛みすら感じない自分になっていたのですね・・・・

そんな自分を戒めるために、ここに記録しておきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

             ガザ・いま                   石川逸子
                         


ガザ いま 通学途上の子どもたちは 瓦礫の下敷きに
ガザ いま 窓ガラスを破られた暗いアパートで ひとびとは凍え
ガザ いま イスラーム大学の校舎は崩れ落ち 病院もねらわれ
ガザ いま 消防署が国連事務所が 難民キャンプの警察署が 爆撃され
ガザ いま 救急車も炎上し 野菜市場は空爆され 

ガザ そのひとたちはなにをした
(先祖伝来の土地を追われ 逃れてきただけ)
ガザ そのひとたちはなにをした
 (入植者に四〇%の土地も奪われ ひしめき暮らしているだけ)
ガザ そのひとたちはなにをした
 (出口・入口をふさがれ 袋のネズミにされているだけ)
ガザ そのひとたちはなにをした
 (道路もおりおり封鎖され 仕事にも学校にも行けないだけ)

ガザ いま その地に イスラエル機は無差別爆撃をおこない
ガザ いま その地に イスラエル戦艦はたえまなく砲撃をくわえ
ガザ いま その地に イスラエル戦車はわがもの顔に進撃し
ガザ いま アメリカ議会は そのイスラエルを支持し

ガザ いま その地で 夜もひとびとは逃げまどい
ガザ いま その地で もがきながら息絶えた ひとびと
ガザ いま その地で 両腕をもがれた 子どもたち
ガザ いま その地で 葬列はたえまなく

ガザ ガザ ガザ・・
ガザ その地はいま 水も電気も絶えかけ 食糧も危うく
ガザ その地でいま ながれ ながれつづける 無辜の血
ガザ・・・ガザ・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

切ない詩です。
悲しい詩です。
そして、怒りが爆発する詩でもあります。

忘れるな!自分!
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悲しみに遇う日
- 2009/02/09(Mon) -

午前中は、こんなに晴れていました。
午後からは急に曇ってきて、慌てて洗濯物を取り入れましたが。
最近は暖かい日々が続いています。
うとうとしてしまう様な小春日和の様な。
kyuu2.jpg
洗濯を干していたら、チビが来ました。
いつものように朝ご飯をあげて、少しおしゃべり・・・・(私の独り言かな? 笑)
kyuu4.jpg
チビも随分大きくなりました。
毛並みも大人のそれです。
冬を越すのに苦労しているのか、あちらこちら薄汚れています・・・・
kyuu3.jpg
メスなので体つきもどことなく丸びをおびてきています。
何かを訴えるように、じっと私を見つめるのですが、今でも指一本触れさせてはくれません。
野生の猫の凄さを感じます。

私はホントはチビを、家で飼いたいのです。
それくらい可愛いのです。
いつもご飯を食べ終わるまで、チビが安心して食事が出来るように
ベランダの戸を閉めてそっとガラス戸越しに見ています。

野良猫は年老いていくスピードが飼い猫よりもウンと早い気がします。
また、ミオの時のような、悲しみに遇う日が来るのが辛いです・・・・
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心療内科へ
- 2009/02/14(Sat) -
まだ雨が降っています。
洗濯物は家の中に干しました。
昼頃からは晴れるそうですが、時々ポツポツ降るので眼が離せません。

12日、1ヶ月ぶりに心療内科へ行きました。
午後4時から始まる診察の、予約番号は2番だったのですが、
夕食の仕度に時間をとられて、5時を回ってから行きました。
待合室は空っぽ。
すぐに呼ばれて診察室へ。
他に待っている人もいなかったので、久しぶりに先生といろいろ話しました。

夜はほとんどお薬なしで5時間ほどでも眠れるようになったこと。
少しお昼寝をしてしまうけれども。

昼間、不安や緊張、恐怖心や強迫観念に襲われることも殆どなく、
のんびり、ただただボヤーッとしていること。

特にしたいこともなく、楽しいこともなく、欲しいものもなく、
淡々と義務を果たして生活していること。

ただ朝のお薬を忘れると、夕方4時ごろから急激に落ちてきて、
ハッとして薬を忘れていたことに気づき、慌てて飲んだりしているから、
朝夕のお薬は、不安で止められないこと。

今の調子が続くようなら、3月から仕事にチャレンジしてみたいこと。
働けるようになったら、自分に少しは自信も持てるだろうし、
今の不安定な生活の不安からも、ほんの少しだけれど、
解放されるかもしれないと考えていること。

先生は仕事に挑戦することには賛成してくださいました。
ただ、もしダメでも落胆する必要はない、と。

そして、何時もどこか無理をしているから、それが心身のストレスになって、
とても疲れやすいのだろう、とも。

寝る時のお薬はたくさん余っているので今回は処方なしで、
その他のお薬は今までどおり出していただきました。

本当は仕事が私にとって一番の不安と緊張とストレスのもとなんだと、分かっているのです。

でも、生活の不安が大きすぎて、少し体調が良くなってくると、
家でじっとしていられなくなるのです。
先行きの見えない不安定な日々・・・・
夫も次男も、朝早くから夜遅くまで働いても、やっとの暮らし。
これで年齢のいっている夫が、前のように仕事を失ったら、病気になったら、
私たちの暮らしは破滅します・・・・
次男だって病気持ちですし・・・・
娘はまだ大学生で、就職するのかどうか、家を出て行くのかどうかも分かりません。

その事が頭から離れないんだ、とも先生に言いました。
生活環境が変わる可能性がないから、どうにもならないことだな、と・・・・
そして、自立支援法を適用してもらいました。
市役所に行かなくてはいけませんね。

あれやこれや、3月目指して少しがんばってみます。

リハビリのつもりで行き始めた臨床哲学の勉強会が今夜あります。
私たちのグループの発表は、前回終わりました。
マイクを持って発表するのは本当に緊張しましたが、無事終了できたし、
今日からは、安心してのんびりと、皆さんの勉強の成果に耳を傾けたいと思います。

楽しみだなあ~
訳の分からないことを、なんとか分かろうとして必死に学ぶのも、なかなかオツなものです(笑)
とっても贅沢な私の遊び、です。

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イヤになります・・・・
- 2009/02/17(Tue) -

うちのミイヤです。

mi_ya4.jpg
朝早くから、チビが来るのをじっと見つめて待っています。

以前は、フウーッって唸り声を上げて、背中も尻尾も膨らませて怒ったり、
飛び出して追いかけたりしたこともありましたが、
最近は、じっとガラス戸越しに、私と一緒に食事をしているチビを見ています。


仕事のことを考えるようになって、急に眠れなくなり、体調も崩し気味です・・・・
私はバカですね・・・・
もう考えません。
けろさんの言うとおりです。
取り越し苦労、超心配性、できもしないくせに・・・・

かえって家族に迷惑かけることになる・・・・

同じ事を何度繰り返せば、賢くなるのか・・・・イヤになります・・・・

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村上春樹エルサレム文学賞受賞スピーチ抄訳
- 2009/02/18(Wed) -
とても、感動しました・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

こんな風にぼくはエルサレムにやって来ました。
小説家として、つまり――嘘の紡ぎ手としてです。

 ただ小説家だけが嘘をつく訳ではありません――
政治家もそうですし(大統領には申し訳ないけれど)――外交官もそうです。
ですが、ほかの人たちと違ったところもあります。
ぼくらの嘘は訴えられることがありません……むしろ誉められさえするのです。
嘘が大きければ、その分誉められさえするのです。

 ぼくらの嘘と彼らの嘘との違いは、ぼくらの嘘が「本当」を明かすことに手を貸すことです。
「本当」を完璧に把握するのは難しい――
だからぼくらは、それをフィクションの領域に移し換えるのです。
ですからまず、ぼくらの嘘のどこに「本当」があるかはっきりさせておく必要があるでしょう。

 今日、ぼくは「本当」を語ります。
ぼくが嘘をつかないのは、一年の内数日だけです。今日はその内の一日です。

 受賞について尋ねられた時、ガザは戦闘状態だと警告されました。
ぼくは自分に問いかけました……イスラエルを訪れることが正しい事かどうか? 
片方に荷担することが?

 少し考えがありました。そこで行くことにしました。
多くの小説家と同じ立場を、ぼくに言われていたこととは反対の立場をとることにした訳です。
小説家としては自然なことでしょう。
小説家は自分の目で見るか、自分の手で触れていないことを信じることが出来ません。
ぼくは見ることを選びました。何も言わないことよりも、話すことを選びました。
 こんな風にぼくは述べに来たのです。

 仮に壁が堅く高く、卵が潰えていようと、たとえどんなに壁が正しく、
どんなに卵が間違っていようと、ぼくは卵の側に立ちます。

 何故でしょう? ぼくらはそれぞれが卵だからです、
ユニークな魂が閉じこめられた、脆弱な卵だからです。
ぼくらはそれぞれ高い壁に直面しています。
高い壁とはすなわち、ぼくらに普段通り個人的には考えさせないよう仕向けている、
システムにほかなりません。

 ひとつだけ、小説を書く時に意識していることがあります、
個々人の神々しいまでのユニークさを描き出すことです。そのユニークさを喜べるように。
そしてまたシステムがぼくらを絡め取ってしまわないように。
だからぼくは――人生についての物語を、愛についての物語を書いています。
人々に笑い泣きしてもらえるように。

 ぼくら人なるものはすべて、個々の、脆弱な卵なのです。
壁に逆らうことなどかないません……それはあまりに高く、陰気で、冷ややかなのですから。
ぬくもりや強さを求めて魂をひとつにする、ぼくらはそうやって壁と戦うよりほかないのです。
決してぼくらを、システムのコントロールに――ぼくらがつくったものに委ねてはなりません。
ほかならぬぼくらが、そのシステムをつくったのですから。

 みなさんに、ぼくの本を読んでくれているイスラエルの人たちに感謝します。
願わくば、ぼくらがなにがしか有意義なものを分かち合えますように。
ぼくがここにいるのは、ほかでもないあなたたちのおかげなのですから。
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村上春樹氏スピーチ原稿、みっけ!
- 2009/02/21(Sat) -
ハアレツに発表されたエルサレム賞での村上春樹氏のスピーチ原稿のようです。
やっと全文読める!

彼の署名記事です。

原文は http://www.haaretz.com/hasen/spages/1064909.html

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

常に卵の側に
村上春樹


今日私はエルサレムに小説家、つまりプロの嘘つき(spinner of lies)としてやってきました。


もちろん、小説家だけが嘘をつく訳ではありません。すでに周知のように政治家も嘘をつきます。
外交官や軍人は時と場合によって独自の嘘を口にします。
車のセールスマンや肉屋、建築屋さんもそうですね。
小説家とその他の人たちとの違いですけど、小説家は嘘をついても
不道徳だと咎められることはありません。実際、大きい嘘ほど良いものとされます。
巧みな嘘は皆さんや評論家たちに賞賛されるというわけです。

どうしてこんな事がまかり通っているかって?

答えを述べさせていただきます。すなわちこういうことです。
創作によって為される上手な嘘は、ほんとうのように見えます。
小説家はほんとうの事に新しい地位を与え、新たな光をあてるのです。
ほんとうの事はその元の状態のままで把握するのは殆ど不可能ですし、
正確に描写する事も困難です。
ですので、私たち小説家はほんとうの事を隠れ家からおびき出して尻尾をとらえようとするのです。
ほんとうの事を創作の場所まで運び、創作のかたちへと置き換えるのです。
で、とりかかるためにまずは、私たちの中にあるほんとうの事がどこにあるのか
明らかにする必要があります。これが上手に嘘をつくための重要な条件です。

しかし今日は、嘘をつくつもりはありません。なるだけ正直でいようと思います。
1年のうちに嘘をつかないのは数日しかありませんが、今日がその1日なのです。

そういうわけで、ほんとうの事を話していいでしょう。
結構な数の人々がエルサレム賞受賞のためにここに来るのを止めるようアドバイスをくれました。
もし行くなら、著作の不買運動を起こすと警告する人までいました。

もちろんこれには理由があります。ガザを怒りでみたした激しい戦いです。
国連によると1000人以上の方たちが封鎖されたガザで命を落としました。
その多くは非武装の市民であり子供でありお年寄りであります。

受賞の報せから何回自問した事でしょうか。
こんな時にイスラエルを訪問し、文学賞を受け取る事が適切なのかと、
紛争当事者の一方につく印象を与えるのではないかと、
圧倒的な軍事力を解き放つ事を選んだ国の政策を是認する事になるのではと。
もちろんそんな印象は与えたくありません。
私はどんな戦争にも賛成しませんし、どんな国も支援しません。
もちろん自分の本がボイコットされるのも見たくはないですが。

でも慎重に考えて、とうとう来る事にしました。
あまりにも多くの人々から行かないようアドバイスされたのが理由のひとつです。
たぶん他の小説家多数と同じように、私は言われたのときっちり反対の事をやる癖があります。
「そこに行くな」「それをするな」などと誰かに言われたら、ましてや警告されたなら、
「そこに行って」「それをする」のが私の癖です。
そういうのが小説家としての根っこにあるのかもしれません。小説家は特殊な種族です。
その目で見てない物、その手で触れていない物を純粋に信じる事ができないのです。

そういうわけでここにいます。ここに近寄らないよりは、来る事にしました。
自分で見ないよりは見る事にしました。何も言わないよりは何か話す事にしました。

政治的メッセージを届けるためにここにいるわけではありません。
正しい事、誤っている事の判断はもちろん、小説家の一番大切な任務のひとつです。

しかしながら、こうした判断をどのように他の人に届けるかを決めるのは
それぞれの書き手にまかされています。
私自身は、超現実的なものになりがちですが、物語の形に移し替えるのを好みます。
今日みなさんに直接的な政治メッセージをお届けするつもりがないのはこうした事情があるからです。

にもかかわらず、非常に個人的なメッセージをお届けするのをお許し下さい。
これは私が創作にかかる時にいつも胸に留めている事です。
メモ書きして壁に貼るようなことはしたことがありません。
どちらかといえば、それは私の心の壁にくっきりと刻み込まれているのです。


「高く堅固な壁と卵があって、卵は壁にぶつかり割れる。そんな時に私は常に卵の側に立つ」


ええ、どんなに壁が正しくてどんなに卵がまちがっていても、私は卵の側に立ちます。
何が正しく、何がまちがっているのかを決める必要がある人もいるのでしょうが、
決めるのは時間か歴史ではないでしょうか。
いかなる理由にせよ、壁の側に立って作品を書く小説家がいたとしたら、
そんな仕事に何の価値があるのでしょう?

この暗喩の意味とは?ある場合には、まったく単純で明快すぎます。
爆撃機(bomber)と戦車とロケット弾と白リン弾は高い壁です。
卵とは、押しつぶされ焼かれ撃たれる非武装の市民です。
これが暗喩の意味するところのひとつです。

しかしながら、常にそうではありません。より深い意味をもたらします。こう考えて下さい。
私たちはそれぞれ、多かれ少なかれ、卵です。
私たちそれぞれが壊れやすい殻に包まれた唯一無二のかけがえのない存在(soul)です。
私にとってほんとうの事であり、あなたにとってもほんとうの事です。
そして私たちそれぞれが、多少の違いはあれど、高く固い壁に直面しています。
壁には名前があります。それはシステム(The System)です。
システムはもともと、私たちを護るべきものですが、ときにはそれ自身がいのちを帯びて、
私たちを殺したり殺し合うようしむけます。冷たく、効率的に、システマティックに。

私が小説を書く理由はひとつだけです。個人的存在の尊厳をおもてに引き上げ、光をあてる事です。物語の目的とは、私たちの存在がシステムの網に絡みとられ貶められるのを防ぐために、
警報を鳴らしながらシステムに向けられた光を保ち続ける事です。
私は完全に信じています。
つまり個人それぞれの存在である唯一無二なるものを明らかにし続ける事が
小説家の仕事だとかたく信じています。
それは物語を書く事、生と死の物語であったり愛の物語であったり
悲しみや恐怖や大笑いをもたらす物語を書く事によってなされます。
生と死の物語や愛の物語、人々が声を上げて泣き、恐怖に身震いし、
体全体で笑うような物語を書く事によってなされます。
だから日々私たち小説家は、徹頭徹尾真剣に、創作をでっちあげ続けるのです。

昨年私の父は90才でなくなりました。彼は元教師でたまにお坊さんとして働いていました。
彼は大学院にいた時、徴兵され中国に送られました。
戦後生まれの子供として、父が朝食前に長く深い祈りを仏壇の前で捧げていたのを
目にしましたものです。
ある時、私がどうしてお祈りをするのかたずねたところ
戦争で死んだ人々のために祈っていると答えてくれました。

味方と敵、両方の死んだ人たちすべてに祈りを捧げていると父はいいました。
仏壇の前で正座する彼の背中をながめると、
父にまとわりつく死の影が感じられるような気がしました。

父は亡くなり彼の記憶も共に消え、それを私が知る事はありません。
しかし父に潜んでいた死の存在感は今も私の記憶に残っています。
それは父から引き出せた数少ない事のひとつであり、もっとも大切な事のひとつであります。

今日みなさんにお知らせしたかった事はただひとつだけです。
私たちは誰もが人間であり、国籍・人種・宗教を超えた個人です。
私たちはシステムと呼ばれる堅固な壁の前にいる壊れやすい卵です。
どうみても勝算はなさそうです。壁は高く、強く、あまりにも冷たい。
もし勝ち目があるのなら、自分自身と他者の生が唯一無二であり、
かけがえのないものであることを信じ、存在をつなぎ合わせる事によって得られた暖かみによって
もたらされなければなりません。

ちょっと考えてみて下さい。私たちはそれぞれ、実体ある生きる存在です。
システムにはそんなものはありません。システムが私たちを食い物にするのを許してはいけません。システムがひとり歩きするのを許してはいけません。システムが私たちを作ったのではないです。
私たちがシステムを作ったのです。

私が言いたいのは以上です。

エルサレム賞をいただき、感謝しています。
世界の多くの地域で私の本が読まれた事にも感謝しています。
今日みなさんにお話できる機会を頂いて、うれしく思います。

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「菜の花畑の笑顔と銃弾 アフガニスタン日本人青年が遺したもの」
- 2009/02/22(Sun) -
明日、こんな番組があるようです。
是非見てみたいし、お時間のある方は見て頂ければと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昨年8月、アフガニスタンで殺害された
伊藤和也さん(31歳)。

今、ここに彼が撮影した写真
3千枚が遺されている。

5年に渡り撮影された写真には
現地の人々と共に格闘した用水路建設、
農作業の苦闘、
地元の食事に招かれ共に談笑する姿、

そして緑が戻った大地で
一面の菜の花を駆けめぐる
子供達の笑顔が印象的に写されている。

写真に写されたアフガニスタンの人々は今、
彼らのために働いた伊藤さんが、
なぜ銃弾による
非業の死を遂げねばならなかったのか、
問い返す日々を送っている。

「彼が遺してくれたものとは何なのか」。

番組では、遺された写真やメール、
手紙などをもとに、
写真に写されているアフガニスタンの人々を訪ね、
ひとりの青年の軌跡を
克明にトレースした映像をもとに、
戦乱の地の過酷な現実、
救援活動の試行錯誤、
国際援助のあり方を浮き彫りにする。

なお、現地には
外国のメディアは入ることを許されず、
今回の撮影映像は、
最新の状況を伝えるスクープ性の高いものである。



NHKスペシャル
「菜の花畑の笑顔と銃弾
~アフガニスタン・日本人青年が遺したもの~」
2月23日(月) 午後10時00分~

http://www.nhk.or.jp/special/onair/090223.html
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