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阿闍世・コンプレックスを考える⑤罪悪感、許し、懺悔心
- 2008/01/02(Wed) -
古澤氏は、
フロイトのもとで精神分析を学んだ唯一の日本人で
精神分析の一開業医として日本人への治療実践をしてゆく中で、
その中核的問題として、フロイトがいっている
両親との三角関係の中から起きてくる葛藤よりも
むしろ母親との二者関係に
その中心的問題があることを見出しました。

それゆえ、古澤・小此木両氏は、
この阿闍世王物語を、母子関係の問題として説明するために、
王妃であるイダイケ夫人が年老いて容色が衰え、
ビンバシャラ王の寵愛が薄れることを恐れて
仙人を殺して阿闍世を身籠ったと、話を作り替えています。

これは、臨床的な事例において
子どもにとって母親は、
自分を愛しているから産んでくれたのではなく
母親自身のエゴで産んだのだという事実に気づいた時
激しい怨み、憎しみの感情が起きると考えることができます。

このような母親への怨みは、母親を愛するがゆえに、
母が自分を欲したのは母の「母たる部分」ではなく
夫の愛の喪失を恐れる「女の部分」であったと知ることは
自分の出生に関わる裏切りに等しく思われ
「生まれる以前に生じた怨み」として「未生怨」と呼んだのです。

古澤・小此木両氏は、日本人特有の心性として、
自分にとって100%の母でなかったことに起因する
「裏切られ感」と「怒り」からなる母への怨みを重視したといえます。

阿闍世の父の殺害は、
フロイトのいうところの母に対する愛欲によるものではなく
母の煩悩にその源を発していること、
生命の根源たる母を、愛するがゆえに破壊しようとする傾向を指摘し、
さらに、父殺害の呵責に苦しむ罪の意識を「罪悪感」と名づけ
その罪が許され救済されたと感じた後に生じる罪の意識を
宗教的心理からくる「懺悔心」としています。

自分の存在との一体感を求めた母に裏切られた怨みから、
父母の殺害を意図し、
その攻撃的願望が処罰されるという罪悪感に対して
予想に反した「許し」を与えられることにより
罪の意識に変化が生じるという心的過程を論じようとしているのです。
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